滞在11日目。4月25日(金)の午前6時。
ボブに会いに,シャミナード大学まで行った。シャミナード大学はハワイ大学の隣の小さなカソリック系の私立大学。英語ではChaminade。日本語表記だと,シャミナードとかチャミネードとか。
この前行ってきた隣のハワイ大学は学生数も多くて大学も広くてとても賑わっていたが,シャミナードはその点,ずいぶん落ち着いている。学生もそんなに多くないし,大学の敷地もそんなに広くはない。学生もみんな,ゆったり過ごしている。そして特筆すべきは,景色である。山側の斜面が始まるところぐらいにあるので,キャンパスの斜面を登りながら振り向くと,そこはワイキキの街と海と,そして雄大なダイヤモンドヘッド。建物も,キリスト教系だからか,白を基調にした教会風(欧風?)な感じで,どれも綺麗である。全体的によく整備されている。
ボブに会うのは,昨年8月以来なので,約8ヶ月ぶり。そのときも思ったが,この人,おしゃべりで,とにかくずっとしゃべってる。あんまりよく話すので,話している内容を全部理解するのは到底無理で,だいたいのところでうんうんうなずくのがやっと。僕がnon-nativeだということはお構いなし。
ここ数ヶ月,彼の本を翻訳しているのと(今年か来年,日本語版として出版予定),話の内容が気功や中国拳法や武術や意識や身体感覚のことなので,なんとか話についていけるけれど,話題がどんどん展開するものだから,いやはや,圧倒される。おしゃべりなんだね。
昨日はそれで,話の展開上(というか僕がうまく英語で自分の真意を伝えられずに),早速,座式八段錦(sitting baduanjin)を,ロバートのオフィスで実際にやることに。床に座って20分ほど,色んなポーズを実践した。もちろん,これは全部,今翻訳中の本にも出てくる。道元の只管打坐と同じだと,そのときもボブが言っていた通り,道家の訓練なので動きがあるけれど,やろうとしていることは同じである。
今後,定期的に,八段錦と易筋経,それから武当太和拳(wudang taihequan)(=武当式太極拳,武当派太極拳,武当山太極拳)を個人的に習うことに。ありがたい。道教の武当山(=太和山)で伝えられてきた拳法は,武当拳とか太和拳って言われていて,これがいわゆる内家拳(=太極拳,形意拳,八卦拳)のことらしい。だから,この武当の太極拳こそが,気を練る(気功としての)本来的な道教の拳だという説がある。
しかし,「気功」というと,僕自身ももともとそうだったが,なんていうか,手から気を出して人を飛ばすとか,手から気を出して病気を治すだとか,何かそういうスーパーナチュラルな方面の怪しい手技のように思われている節が,あることにはある。気功という名の下に,果てはそういうのをしている人もいるにはいるけれども,しかし,本来的な気功は,まずは心身の健康を整えることを第一の目的とした,古代中国から連綿と続く養生法であり,決して怪しいものではない。
「気」という概念があって,これは目に見えない生命エネルギーだというものだから,それが何やら神秘的な超自然的な力を持ちうるように聞こえてしまうわけだけれど,これはとりあえず身体感覚を意識するための一つの方便だと考えて良いと思う。また,当然,道教の考え方とリンクしているので,そこでは「気」という概念が説明力が高いのだ。
とにかく,いくら気功を練っても,孫悟空のように手からカメハメ波が出ることは,永遠に,ない。
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