滞在8日目。今,4月22日(火)の午前5時。
昨日,近所のコミュニティセンターで開かれている太極拳(Tai Chi)の教室に参加した。ホノルル滞在中,これから毎週通おうと思っている。ロバートに気功(Qi Gong)を教わる予定だが,一方で,ここで基本的な太極拳のさわりだけでも定期的に教わろうと思ってる。
ここの先生はスティーブさんといって,中国系のアメリカ人。そのさらに先生はおそらく中国人。来月初めにその大先生がやってきて,ワークショップが開かれるとのこと。できれば参加したい。コミュニティセンター,いわゆる日本の公民館とか近隣センターでやっている太極拳なので,最初は普及版の制定24式でも教えているのかなと思っていたが(もちろん,それでも良かったけれども),スティーブの教えている太極拳は意外にも本格的なものだった。稽古中話していたことや動きを手がかりに,家に帰ってから調べたところ,おそらく,伝統的な楊式太極拳の老架108式(あるいは85式)だと思われる。
太極拳にはいくつかの流派があって(陳式,呉式,武式,孫式など),その中でも伝統楊式の老架108式は,今ある様々な太極拳の中でもおそらく最もオーソドックスで古典的で原点的な套路(套路とは,空手で言うところの「形」のこと)と推察。この楊式老架108式から,呉式や武式が別れたり,楊式をベースにして他流も混ぜて現代の制定24式などが作られたり,様々な楊式の簡化式が編成されたりしている様子である。
なお,力強く速い動きのある独特の陳式は歴史的に最も古いので太極拳の源流という表現がされることが多いが,一方で,そもそも太極拳ではないという極端な説もあり。だから,陳家拳と呼ばれたりしてる。孫式は太極拳に八卦掌と刑意拳を混ぜたものらしいから,こちらもそもそも太極拳ではないという説もあり。だから孫家拳と呼ばれたりしてる。そういうことで,楊式はいわゆる「太極拳」の本質的な形をそのまま継承している,ということらしい。
ただ,太極拳の起源そのものに諸説あるので,これという定説はないんだろうけれども,現代ある様々な流派や套路を通して,おそらく,この伝統楊式の老架108式というのが,本来の太極拳というときの太極拳らしさを最も表している套路なんだろう,たぶん。
そういう意味で,たまたま隣のコミュニティセンターでやっていた太極拳教室が伝統楊式の老架108式を本格的に教えている先生のところで,非常に幸運である。まさに武縁。生徒はみな,地元のおじいちゃんとかおばあちゃん。それよりはもう少し若い女性の方もおられたけれど,基本的には日本の太極拳教室と同じ光景で,シニアの方々が,ゆっくりと套路を練っておられる。
しかし本来,太極拳は別におじいちゃんおばあちゃんのための健康体操というわけではなく(もちろん,そうした養生的要素がベースにあるので扱われ方が間違っているわけではなくて,本質的にもそれで全く正しいのだが),その先に道教的な思想へと向かう修行というプロセスがある。つまり,太極拳とは身体を通した道教修行,つまり,道家的心身修養法と位置づけられる。道教は身体を通して修行する。それは例えば気功であったり太極拳であったりする。
まさに,僕がやっている「空手を通した禅」と同じ構造なのだ。
だから,今,ホノルルにいる。ホノルルでボブに気功(伝統的な座式八段錦と易筋経)とストレスマネジメントを習うためにやって来たが,加えて,スティーブに伝統楊式太極拳を習うことができるようになった。武縁に感謝。
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