7/24/2014

続・身体の中心

滞在101日目。7月24日(木)の午前3時20分。

身体の中心(center)はいくつもある。以前も言っていたけれど,昨日の稽古でスティーブが改めて話していた。

身体のバランスの中心は尾てい骨であり,身体のエネルギーの中心は下丹田である。これに加えて,身体の物理的な重心もある。重心をどちらの足にどのくらい乗せて身体という質量のある物体の中心がどこにあるかというときのcenterと,バランスを取る上での身体全体のcenterは違う。もちろん,非物理的な意味で下丹田に気(生命エネルギーあるいは息)を集めるというときのcenterと,物理的な意味での重心やバランスのcenterとは違う。

しかしいずれにせよ,どのcenterも腰腹周辺にある(上下左右から見て腰腹周辺に位置する)ことは間違いなく,ここの辺りを見つけて感じながら動く。四肢はそれに柔らかくつなげつつ,全体で統合的に連動して動く。そのcenterを軸に,手の指先から足のつま先までをつなげていく。

太極拳は,こうして身体の芯(心)や軸,あるいは根を練るボディワークなのだ。芯や軸,あるいは根を持つことが,平たく言えば,心の安定につながる。芯や根は,気を逸らせる様々な思考に振り回されずに戻ってくるための錨の役を果たす。今ここにある身体こそが,私の住む家であり,外出していると感じるのは幻想であり,すでに家に帰っていて家にいるのだから,その家にただ安住するのみ。たしかティク・ナット・ハン師の『ブッダの幸せの瞑想』にあったように,私はすでに自分の家にいるのだ。この当たり前を当たり前に感じられるためには,身体に芯や根がなければならない。

道教に由来する太極拳は,この芯や根を練るためのメソッドである。

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