滞在44日目。5月28日(水)の午前7時。
遅ればせながら,須藤元気率いるWorld OrderのパフォーマンスをYouTubeで見た。すごい。一人一人の動きももちろん一級品ですごいけれど,全体のダンス構成がすごい。ダンスをしている衣装や場所や映像の構図がこれまた,良い。
プロデュースは須藤元気となってるけど,振り付けは野口量(今は脱退したのでメンバーではない?)という人を中心にメンバー全員で考えているらしい。いやぁ,ホント,よくできてる。
「ロボットダンス」ってのはずっと通称だと思っていた。パントマイムで言うところの「人形ぶり」である。で,ブレイクダンスとかロックダンスとかの中で「ポッピング」っていうロボット的な動きはあったけど,その動きのロボットっぽいのだけでダンス全体を構成した場合,呼び名はなく,とりあえずそういうのをロボットダンスと呼んでるつもりでいた。しかし今は,一般名称としてロボットダンスで通じるみたい。
学生の頃,MEGAMIXっていうグループのロボットダンスをアレンジしてパフォーマンスしてたなぁ。懐かしい。舞夢踏では今でもやってるのかな?
目抜き通りであるカラカウア通りに,ときどきパントマイミストが人形ぶりをやって小銭を稼いでいる。歩道でじっとしていて,お金を入れると動くっていう,あれ。東京でもときどき見かけるし,世界中どこでもやってる,あれ。
この前,試しに3セントをちゃりんと入れたけど,1ミリも動かなかった(笑)。ちゃんと見てる(聞いてる)なぁ,値段を。まぁ,そうでなくてはパフォーマンスは成り立たない。正解正解。
ロボット(人形ぶり)をしているときは,身体の隅々まで注意を向け続けなければならない。そうでないと,全身をピタリと止められない。動くときも動く箇所だけ動きつつ,その他動かない箇所は止まっていないとロボット(人形)には見えない。人間は全身で滑らかに動くから,ある箇所だけが個別的特異的に動く,ということはない。あるところが動けば,その他の部分もバランスを取りながら連動する。上手くできている。
人間の身体ってのは,だから,意外とぬるぬるふにゃふにゃしてるのだ。そのふにゃふにゃのおかげで,二足で歩行したり走ったりすることができる。ロボットに二足で歩行したり走らせたりするのは,したがって,技術的にはとても難しいはずだ。ただ走るだけなら今でも製造可能かもしれないけれど,前後左右上下の障害物を巧みに避けて二足で走るロボットは,見たことがない。人間のような滑らかな全身的連動性でバランスを保ち続けることが難しい(はずだ)からだ。
さて,実際,パフォーマンスとしてのロボット(人形)らしい動きにはテクニックがあって,それはそれなのだが,ロボット(人形)的な動きとは,つまるところ,ある箇所だけを個別的特異的に動かすことで,滑らかな全身的連動性を無くすことで,人間味(人間らしい動き)を消すことで成立する。
そのために,ダンサーやマイミストといったパフォーマーは,全身に注意を向ける。それを持続する。全身に注意を向けることで,放っておいたら勝手に滑らかに動いてしまう身体を制御する。もちろん,熟達すれば,そうした注意を努力して意識的に向けなくても,(無意識的とまでは言わないけれど)自然に全身への注意と緊張を維持できるようになる。
そして,パフォーマンスとして成立させるためには,これを始終,それこそストリートでする人形ぶりは,何十分も何時間も,続けるわけである。1分や2分続けても,お金はもらえない。10分,20分,30分,1時間と続けてこそ,ストリートでの不自然さはよりいっそう際立ち,かくして投げ銭がもらえる。
World OrderのPVはどれも街中での撮影が多いのは,街中には滑らかに動く一般の人がいて,World Orderのメンバーの動きがよりいっそう際立つためだ。彼らのパフォーマンスはそれ自体で一級品であるが,選んだ衣装(ビジネスマンスーツ)や場所が,その動きのすごさをより分かりやすく提示する絶妙な装置になっている。うまい。だから,すごい。
須藤元気,すごい。しかも,この裏で,学生レスリングの拓殖大監督・日本代表監督として,優秀監督賞を7回獲得しているというから,なおすごい。
ただ,World Orderは「ロボット」ダンスのみ,というわけでもない。こういうのは実際,なんてジャンルのダンスになるんだろう。ちらっと調べてみたら,アニメーションダンスとかロボットダンスとかあって,それらをひっくるめて「ダブステップダンス」というみたい。たぶん。"Aquarius"って曲では,最後の方に空手の形(たぶん,松濤館の観空小あたり)をアレンジして入れてた。上手上手。
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