5/31/2014

伝統

滞在47日目。5月31日(土)の午前4時30分。

ウェットアンドワイルドの疲労が残る。遊び疲れ。40過ぎれば波もスライダーも堪える。本当なら,何もせずにビーチでまったりしていたい。

子どもは海よりプールの方が好きみたい。潜って遊ぶ,泳いで遊ぶには,波も砂も塩辛さもないプールの方が良い,ということのようだ。せっかくホノルルにいるのに,そういうものかね。

昨日は夕方から,楊式の太極拳を練ってみた。楊式の10式(8式)。

YouTubeで検索すると,この10式(8式),結構色んな人がやっている。技の応用なんかも紹介されている。しかし,この10式は,8式とも表記されるからややこしい。それから,こういう風に要素を取り出して套路を短くするのは制定(規定)拳であり伝統拳ではない。たぶん。

習っているスティーブは伝統楊式(Classical Yang Style)だから,YouTubeに出てくる制定(規定)と,動作(身体操作)の質が若干違う。せっかくスティーブに習っているので,伝統楊式の身体操作で,この10式(8式)を練ることにしている。

太極拳の世界にはこうして,伝統拳と制定拳という区別がある。伝統拳とは言わば「古流」であり,一方,制定拳というのは連盟公式の規定に従って,見栄えの良さを追求した表演競技としてのものと,健康体操としてのものとが含まれる。

空手も然り。各流派の宗家の伝統に沿って稽古しているところと,全空連による公式の規定に沿って稽古しているところの,二種類存在する。太極拳の世界も同じだろうけれど,世の道場・教室の大半は後者である。

武術の世界は,こうして,師から伝わる教えをただひたすら忠実に守ろうとする流れと,世の中にどんどん広く普及させていこうとする流れがあるようだ。後者を成し遂げるためには,共有できる統一された形式やルールが必須である。それが公式(公認)の規定。普及には統一が必要であり,統一のためには,曖昧さや微妙さをなるべく捨てて,分かりやすさや明確さが追求される。

分かりやすさや明確さとは,要は,見た目の分かりやすさや明確さである。身体の内的な感覚まで規定することは難しい。それを分かりやすく明確に統一した形式として示すことはほぼ不可能だからだ。となると,とりあえず外見だけでも統一する。それでもって,みなで集まって,競技を行う。その結果,だんだん見栄えの良さを追求するようになる。

かくして,徐々に,伝統派との差異が広がっていく。

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