滞在58日目。6月11日(水)の午前4時40分。
太極拳と空手の身体操作的な共通点を探る。ポイントは,やはり,腰・腹の使い方だ。そこから足,そして首・肩・肩胛骨辺りの使い方。
伝統楊式あるいは正宗楊式と呼ばれる(あるいは自ら名乗る)太極拳をしている団体のウェブサイトだとか,している団体の動画だとかを見ると,そのほとんどが制定(規定)の套路を練習している。「規定の」伝統楊式だったり,あるいは,楊式とともに陳式や孫式や呉式もやったり総合42式というのをやったり武器術をやったりと,とにかく,武術太極拳連盟(ひいては国際武術連盟)のルールや形式に基づいて,行っている。各流派の,本当の意味での伝統(古流・古式・古伝)に基づいてやっている,という団体は少ない。
スティーブの太極拳は,伝統楊式である。そして,明らかに,武術連盟の規定の太極拳と違う。まずもって立ち形が違う。細かいところでは,手の動かし方も違うし,特には足の上げ方(蹴り方)が違う。これはクラシカルなやり方だから,現代式と違う,とスティーブ自身が言っていた通り,だいぶ違う。習いに来ている古参のおばあちゃんが以前に,「スティーブのタイチーは,良いよ。なんたって,よくあるタイチーと違って,ちゃんとした(本式の)中国のやつだからね」と教えてくれたのを思い出した。
現代式の伝統楊式太極拳よりも,この古式の伝統楊式太極拳の方が,より武術的だろうと考えると,たまたま隣でやっていた太極拳教室の先生がスティーブであった縁はすごい。武縁に感謝。
それで,腰・腹の使い方だけれど,現段階では,たぶん,使い方はかなり共通していると見ている。練りながらまた変わるかもしれないけれど,今のところ,ほぼ同じ身体操作になるような気がしている。
そしてこの古式伝統楊式太極拳の基本的な身体操作と技を練る,という意味では,10式(8式)で十分な気もしている。本来の套路は,長い。その中には,もちろん10式には含まれていない身体操作や技,そして技と技の流れ(連関)が,多数含まれている。時間と場所さえあれば,それらをすべて練ってみたいけれども,時間と場所は限られている。そういう意味で,10式(8式)は,ごく基本的な技のみを左右対照に行うよう構成されているため,太極拳の身体操作と技をじっくり練る上で,良い。
この10式(8式)は,入門用の初級太極拳,といった扱いがなされている感もあるけれども,だから,ただの入門用と位置づけるだけなのは非常にもったいない。むしろ,これだけで,伝統楊式太極拳をじっくり味わうことができると思っている。10式なら場所も取らない。時間にすれば5分とかからない。1日1回でも良いし,練ろうと思えば何度も繰り返せば良い。
この10式(8式)を使って,古式の伝統楊式太極拳の身体操作と技を,練る。その練り具合と,サンチンとナイファンチのときの練り具合とを比較してみる。じっくりと確かめつつ,練る。
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